■近未来系

世界初、10空間多重光信号の空間モード多重増幅中継伝送に成功~従来の10倍以上の長距離・大容量光ネットワークの実現へ貢献~ | ニュースリリース | NTT
日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)は、これまでの光ファイバと同じ直径を保ちながら伝送容量を10倍に拡大...
  D:1本の光ファイバーの中の「通り道」の数(多重数)を増やすことで、1本あたりの伝送容量の飛躍的な向上を期待できる「空間分割多重技術」が期待されています。その1形態である「空間モード多重伝送技術」で使用されるマルチモードファイバーという光ファイバーでは、これまでと同じ太さの光ファイバーで同時に10以上の多重数へと拡張できるそうです。しかし、受信側で情報を取り出す際に色々と工夫する必要があるそうです。そうした中、NTTがこれまで培ってきた技術にさらに改良を加え、10空間モード多重信号で世界記録となる1300kmの長距離伝送に成功したそうです。  
高温超伝導モータの室温運転に成功-輸送機器など実用化に道筋-
  D:超伝導体が超伝導を維持できるのは-200℃以下なので、室温で使おうとした場合、強力な冷却装置が必要になります。そしてもし冷却装置が壊れるなどして、超伝導を維持できなくなった時、最悪の場合は超伝導体が爆発する危険性すらあります。そのため、自動車や飛行機などで超伝導モーターを使うのがはばかられ、実用化が進んでいませんでした。そうした中、超伝導体と常伝導体のハイブリッド形式にすることで、それを回避するという技術が開発されました。超伝導が維持できる時は電気は電気抵抗ゼロの超伝導体を通り、冷却装置が壊れて超伝導を維持できなくなった時は常伝導体の方を電気が流れることで、爆発が起きなくなるのです。これで、超伝導モーターの普及が一気に進むかも。  
名大など、厚さ0.9nmのアモルファスシリカナノシートの合成に成功
名古屋大学(名大)などは、厚さ0.9nmのアモルファスシリカナノシートの合成に成功したと発表した。
  D:アモルファスシリカは次世代のナノシートとして、エレクトロニクスなどにおいて期待されている物質です。しかし薄くするのが難しく、ナノシート化が実現できていませんでしたが、新たな方法が考案され、アモルファスシリカで1ナノメートルにも満たない記録的な極薄ナノシートが作製されました。  
紫外線殺菌は弱い強度で長時間照射する方が高効果! 名市大が解明
名古屋市立大学は、紫外線殺菌技術において従来の定説を覆す効果を発見したと発表した。
  D:紫外線を用いた殺菌効果は、これまで紫外線強度×時間で表されると考えられてきました。つまり、紫外線強度10mW/cm2で1秒の照射と、紫外線強度0.1mW/cm2で100秒の照射は殺せる菌の数は同じと思われていたわけです。しかし今回の研究において、そうではないことが判明しました。大腸菌6000個に対し、紫外線強度10mW/cm2で1秒間の照射では550個までしか減らせなかった(殺菌率90%)のに対し、紫外線強度0.1mW/cm2で100秒の照射は60個まで減らせる(殺菌率99%)であることが確認されたのです。弱い強度の方が人体に使用する場合は悪影響が少ないので、弱くても長く照射すれば効果が高いという今回の発見は非常に有用なのです。  
東大など、フラーレン1分子の電子放出位置を1nm以下で制御することに成功
東京大学と科学技術振興機構(JST)は、固体上に配置しフラーレンに電子を通過させる際に光を照射することで、同分子から放出される電子の位置を1nm以下のスケールで制御することに成功したと共同で発表した。
  D:1ナノメートルほどのサイズをした、単素原子だけでできたサッカーボール状の分子「フラーレン」を用いることで、電子の放出位置(放出方向)を制御できる技術が開発されました。これを実用化してコンピューターに組み込めれば、何と処理速度が今の1000~100万倍にできるとのこと。実際に師範ノートPCとかに利用されるようになるには、まだ10年単位の時間が必要でしょうけど、従来の高層化のための手段である回路の微細化はゴールが見えつつあって(究極の微細化である幅原子1個分に迫りつつある)、いわゆる「ムーアの法則」による高速化は頭打ちになりつつありますが、まだまだコンピュータの高速化は可能なようです。  
世界初のAIアシスタント政策顧問「Ion」を雇用したとルーマニア政府が発表
ルーマニア政府が、リアルタイムで民意をくみ取ることを目的としたAIアシスタントを導入したことを発表しました。
  B:非公式では、とっくに多くの国が導入済みだろう。便利なものはデメリットがあろうがリスクがあろうが即導入するのが地球人類が築いてきた国家というものだ。それは他国に屈しない為であるという大義名分がある。Ionに対するネガティブな意見は全てAI運用する人間に対するものと言えるだろう。AIがどんなに有用だろうと賢かろうと、運用する人間がおバカな限りは人間社会に悪影響をもたらすというのは当たり前のことだ。いっそのこと顧問とかじゃなくて人間の支配・干渉から外れたAIに人間社会を委ねるべきだと思うがね。  
東北大、原子種個々の運動速度を測定する「スピードガン」の開発に成功
東北大学は、分子を構成する原子種個々の運動スピードを測定する、「原子のスピードガン」の開発に成功したと発表した。
  D:これまで、原子の集団の運動エネルギーを測定することはできていましたが、分子内の原子個々の速度を計測することはできていなかったそうです。そこで、電子を原子に当てて、跳ね返ってきた電子の速度変化で原子の速度を算出する、まるで原子用スピードガンが開発されました。  
芝浦工大など、LiDARを用いた学生の学習中姿勢の識別技術を高精度化
芝浦工業大学とLiNewは、LiDAR技術を用いた研修システムの開発に関する技術的な成果報告を3月1日に行うと発表した。
  D:LiDAR(ライダー)とはレーザーを利用した光センサーです。レーザーの発射方位をわずかずつ変えて短時間に連射し、周囲のどのぐらいの距離にどのような形状の物体があるのかを調べられます。近年は、自動運転のために自動車に搭載され、周囲の自動車や歩行者などの検出や測距で活躍してます。そんなLiDARを用いて、大学生の授業中の姿勢を識別するのに用いて、生産性の向上などに役立てようという研究が進められています。  
東工大がほぼ同一のフォトン生成に成功 量子ネットワーク実現へ重要な成果
東京工業大学は、「量子ネットワーク」への応用が期待されているダイヤモンド中の「スズ-空孔(SnV)中心」において、複数のSnV中心からほぼ同一のフォトンを生成することに成功したことを発表した。
  D:量子技術のうち、通信系の量子ネットワークを実現するのに鍵となるのが、量子もつれです。量子もつれの関係にある光子を生み出すのに、これまでの光源としてダイヤモンドを使った技術では、どうしてもダイヤモンドに歪みが生じてしまって、うまく同一の光子を生み出せなかったそうです。しかし今回、ダイヤモンドを歪ませない技術が開発されました。  
名大など、回転デトネーションエンジンの宇宙飛行データ解析の結果を公開
名古屋大学などは、2021年に成功した観測ロケット用いた「回転デトネーションエンジン」の宇宙飛行実証の飛行データの解析を実施したことを発表した。
  D:現在のロケットの推進システムよりも強力でなおかつ軽量化も可能なデトネーションエンジン。かつては「異常燃焼」などと訳され、よくない燃焼の仕方と捉えられていたのですが、実は制御などが難しいものの、非常に高速な燃焼であり、これを制御してロケットの推進システムとして利用できるようになれば、いいことずくめです。そのため、NASAなどの海外でも次世代ロケットエンジンとして研究が進められています。2021年7月に、名古屋大学やJAXAなどが実際にロケットに搭載して打ち上げて、宇宙空間で作動させることに成功したのですが、今回はその時のデータが解析され、3本の論文として公開されました。そのうち、H3やイプシロンロケットの第2段エンジンなどに搭載されるかもしれません。  
北大、実用化可能な全固体電気化学熱トランジスタの作製に成功
北海道大学(北大)は2月23日、熱の伝わり方を電気スイッチで切り替える「全固体電気化学熱トランジスタ」の開発に成功したことを発表した。
  D:電流のオン・オフを切り替えられるスイッチのように、熱の流れのオン・オフを切り替えられる「熱トランジスタ」を実現できれば、電子機器などからのわずかな廃熱も、有効利用できる可能性が出てきます。熱を制御できると、これまでに叶わなかったデバイスも作れるようになるので、次世代技術として期待されています。  
広島大など、材料の高結晶化で有機薄膜太陽電池のエネルギー変換効率を向上
広島大学などは、有機薄膜太陽電池(OPV)の発電材料である有機半導体の高結晶化により、エネルギー変換効率を向上させることに成功したと共同で発表した。
  D:建物の壁や窓などの垂直面や、ビニールハウスなどでも利用可能なのが、軽くて薄くて柔らかい有機薄膜太陽電池です。しかし、既存の重くて固いシリコン型太陽電池と比べると、太陽光を電力へと変換する効率が低いことが課題の1つでした。有機薄膜太陽電池は、n型とp型の有機半導体を組み合わせて作るのですが、そこで広島大の研究チームは今回、それぞれ複数のタイプの有機半導体を用意して合計8種類の有機薄膜太陽電池を作り、どれが最もエネルギー変換効率が高いのかを調べました。  
千葉大、SAR衛星画像を用いて地盤沈下を正確に観測する新手法を開発
千葉大学は、神奈川県3都市の地盤沈下を「連続差分干渉SAR解析」(Consecutive DInSAR)という手法を用いて観測し、地盤沈下のメカニズムを特定することに成功したと発表した。
  D:最近の衛星は、軍の偵察衛星じゃなくても、地上のいろいろなことがわかっちゃいます。現在運用中のJAXAの陸域観測技術衛星「だいち2号」や、その後継機の「だいち4号」(2023年度中にH3ロケットで打上げ予定)、そのほか日本の民間の小型衛星に搭載されている合成開口レーダーが大活躍で、今回は時期をずらして同レーダーを用いて撮影した地表の画像から地盤沈下の様子を確認できる技術が開発されました。  
量研機構と東芝ESS、核融合実験炉「ITER」のTFコイル8基の製造完了を発表
量研機構と東芝ESSは、国際核融合実験炉「ITER(イーター)」の主要機器の1つである「TFコイル」の製作において、日本が分担する全8基の製作が完了したことを共同で発表した。
  D:日本を含む世界7極(日・欧・米・露・韓・中・印)35か国による国際協力で、フランスにおいて建設が進められているのが核融合実験炉「ITER」です。ITERには、プラズマを閉じ込めるための、高さ16.5m・幅9mという巨大電磁石「TFコイル」が全18基設置される予定ですが、そのうちの8基を日本が担当しており、日本の気合いの入り方がわかります。自分が生きているうちに原子力発電所がすべて核融合発電所にリプレースされるといいなぁ。  
東工大とJST、複数の計算原理を使い分けるアニーリングプロセッサを開発
東京工業大学と科学技術振興機構(JST)は、複数の計算原理を使い分け「組み合わせ最適化問題」を高速・高効率で解決するアニーリングプロセッサを新たに開発したと発表した。
  D:現在、「巡回セールスマン問題」に代表される「組み合わせ最適化問題」に特化した量子コンピュータが(量子)アニーリングマシンです。すでに商用化も進んでいます。量子コンピュータといっても、計算原理が複数ありまして、それぞれ得手不得手があるそうです。そこで問題に対し、どれが敵しているのかを事前に確認してから最適な計算原理を選んで実行することで、高速・効率化が実現されました。  
北大、核酸搭載脂質ナノ粒子の大量製造を実現する流体デバイスを開発
北海道大学は、手のひらサイズのマイクロ流体デバイスを用いて、mRNAワクチンに用いられる「脂質ナノ粒子」(LNP)を大量製造する手法を開発したことを発表した。
  D:DNAやRNAなどの核酸を利用する核酸医薬の課題は、核酸は体内では分解されやすく、また細胞膜を通って中へ入るのも難しいという点です。そこで、新型コロナのmRNAワクチンなどの実用化されている核酸医薬では、ドラッグデリバリーシステムと組み合わせ、ナノサイズのカプセルの中に核酸を入れて、目的の細胞や患部などに届けます。今後、さらに核酸医薬の利用が増えていくと、このナノサイズのカプセルの大量生産の仕組みが必要となります。そこで今回、カプセルの一種である脂質ナノ粒子をほぼ同一サイズで大量に生産する方法が開発されました。  
東大、透明かつ構造材として利用可能な強度を持つCNF製板状材料を開発
東京大学(東大)は、木材由来のセルロースナノファイバー(CNF)を用いて、透明かつ高強度の板状材料の開発に成功したと発表した。
  D:木材から採取できるセルロースナノファイバーの応用に関する研究開発が進んでいます。セルロースナノファイバー(CNF)は強度があるので建物や自動車などの構造材に使えるのが特徴です。しかも、CNFは薄く作ると透明にも作れます。そこで、構造材としても使える強度と透明度を両立させたCNFによる板状材料の開発が行われました。  
名大、原子3個分の厚みで強誘電特性を維持したナノシートを低温で合成
名古屋大学は、「チタン酸バリウム」を利用し、60℃という低温で、原子3個分の厚み(1.8nm)かつ強誘電特性を維持できるナノシートの合成に成功したことを発表した。
  D:近年、炭素原子1個分の厚みしかないグラフェンのような、2次元物質(ナノシート)の研究開発が進んでいます。それが、強誘電物質の場合、原子3個分ぐらいの厚みまで薄くしてしまうと、その強誘電特性が失われてしまうそうです。そうした中、強誘電物質の代表であるチタン酸バリウムにおいて、強誘電特性を失わずに原子3個分まで薄くすることに成功しました。  
産総研、水蒸気を含む有機溶媒の廃ガスからメタノールを回収する技術を開発
産業技術総合研究所(産総研)は2月16日、青色顔料のプルシアンブルーを改良し、メタノールを回収・濃縮できる新しい吸着材を開発したことを発表した。
  D:有機溶媒は産業上有用な物質ですが、その廃ガスをそのまま大気中に放出してしまうと、光化学スモッグだのPM2.5になったりと、大変よろしくないので、法律で規制されています。そのため、現在は廃ガスは燃やしてCO2として放出されています。しかし、もはやCO2ももはや生態系にとっては温暖化を招く”毒ガス”なので、その放出も抑制しなければなりません。そこで、廃ガスからメタノールを回収して有効活用するという技術が開発されました。  
理科大、256mAh/gの放電容量を持つマグネシウム二次電池の開発に成功
東京理科大学(理科大)は2月15日、高い放電容量を有し、バッテリーの正極材料として使用可能なマグネシウム酸化物の合成および結晶構造、電子状態の解明に成功したと発表した。
  D:少し前まで、リチウムイオン電池(LIB)の小型軽量化・高エネルギー容量化・安全性の向上の観点から全固体電池の話が活発でしたが、最近は、このマグネシウム二次電池のような、ポストLIBに関する研究報告が増えてます。リチウムは埋蔵量が少ないため、EVなどの増産で世界的な大幅な需要増の影響で、このままいくと2030年前後には需要が供給を上回り、日本などの輸入に頼るしかない国は入手困難になる恐れがあります(価格も以前の何倍にも跳ね上がっているとのこと)。それを見越し、日本では2010年代からポストLIBの研究が本格的に進められているのですが、最近、その成果が出てくる機会が増えているようです。  
ハイブマインド