■生物・バイオ系

大阪公大、半月板修復における骨髄液フィブリンクロットの有効性を確認
大阪公立大学は、「骨髄液フィブリンクロット」を使用した半月板縫合術が、良好な修復結果を示すことを明らかにしたと発表した。
  D:半月板損傷などの軟骨は治癒しにくいことが難しいわけですが、個体由来の骨髄液から作成した血餅(血液が凝固したもの)である「骨髄液フィブリンクロット」を使用した半月板縫合術が、無処置の場合や、「末梢血フィブリンクロット」を使用した場合よりも修復が良好なことがわかりました。軟骨の修復の仕組みがヒトの身体に備わっていないのは、軟骨がすり減ってしまって障害が出る前にヒトの寿命が尽きてしまっていたからなんですかね。  
コンピューターによる皮質脊髄路インターフェイスで脊髄損傷をバイパスすることで脊髄損傷により麻痺した手の力の調整能力を再獲得した
脳機能再建プロジェクトの尾原圭(新潟大学大学院医歯学総合研究科 博士課程4年)と西村幸男プロジェクトリーダー(同研究科客員教授)らの研究グループは、大脳皮質-脊髄間を繋ぐ神経経路である皮質脊髄路の役割を持つ皮質脊髄路インターフェイスを開発し...
  D:脊髄損傷した部分をバイパスし、その間をコンピューターで補って、その先の損傷のない脊髄や筋肉などに脳からの電気信号を模した電気刺激を伝えることで、麻痺して失われていた手の力の調整能力などが回復したそうです。これは、サイボーグ化技術ですよね。人間の背骨、中でも脛骨は特に弱点なので、全部バイパスして、神経よりももっと切断しにくいケーブルに置き換えてしまえば、神経切断による手足の麻痺などの心配はなくなるかも。  
薄い塩水を甘く感じる理由とは? 岡山大が味覚に関する長年の謎を解明
岡山大学と高輝度光科学研究センターは、食塩を構成する成分の塩化物イオンが、甘味やうま味の受容体に作用して味覚を引き起こすことを発見したと発表した。
  D:味噌汁程度の0.8~1%程度の塩水に対し、人間は塩っ気として「おいしい」と感じますが、その10~20分の1の薄い塩水に対しては、なぜか「甘く」感じてしまうそうです。そんな60年近い味覚に関する謎が解明されました。  
秋生まれの赤ちゃんは1歳までに湿疹の発症が多い! 富山大が調査
富山大学は、生まれた季節と乳児期に発症する湿疹およびアトピー性皮膚炎の関連を調べた結果、春生まれの子どもと比較して、秋生まれの子どもの方が1歳時点で湿疹の発症が多くなることを明らかにしたと発表した。
  D:湿疹やアトピー性皮膚炎は、生まれた季節によってなりやすい、なりにくいがあることがわかってきています。春に生まれた子よりも秋生まれの子の方が多いようです。早く、季節に関係なく生まれた子どもに湿疹やアトピー性皮膚炎ができにくい薬とかができるといいですね^^  
明治、尿酸値が高いと血管の細胞死が誘発される可能性があることを発見
明治は、尿酸値が高い高尿酸血症の状態で生じる尿酸塩結晶が血管に沈着すると、血管の炎症反応を引き起こす可能性が示唆されたことを発表した。
  D:高尿酸値といえば、痛風。痛いのさえ我慢すればいい話かというと、それだけでは済まないことがわかってきました。大動脈の動脈硬化を引き起こしたりする可能性があるとのことで、つまり死につながる可能性があるということです。  
皮膚のハリを保つタンパク質は40代から急激に形状変化を起こす、ファンケルが発見
ファンケルは、皮膚に弾力性を与えてハリを保つ役割を持つタンパク質「エラスチン線維」が加齢により湾曲すること、特に40代で、急激に同線維の形状に変化が起こることを発見したと発表した。
  D:皮膚に弾力性を与えてハリを保つ役割のタンパク質に「エラスチン線維」というものがあります。これが加齢によって湾曲するとハリがなくなるのですが、どうやら40代で急激に湾曲してくるようです。まさにお肌の曲がり角って感じですかねぇ。若い時からいたわって、年齢を重ねても同線維が湾曲しないようにすることが、「いつまでも若い肌」を手に入れる秘訣のようです。しかし、すでに湾曲してしまっている人々のため、同線維をピンと伸ばしてくれるような薬が開発されるといいですね。  
マイクロプラスチックは高脂肪食下で異常を誘発 京都府立医科大などが確認
京都府立医科大学と京都大学(京大)の両者は2月24日、野生型マウスを4群に分け、それぞれ普通食、普通食+ポリスチレンマイクロプラスチック(MP)、高脂肪食、高脂肪食+MPを餌として4週間与えたところ、高脂肪食を摂取したマウスにおいて、糖尿病...
  D:プラスチックは細かく砕けてはいくのですが、完全な分解には至らないため、5mm以下の小さなマイクロプラスチックによる海洋汚染が地球規模での環境問題となっています。当初、「人間には影響がない」などといわれていましたが、高脂肪食を摂取している状態で同時にマイクロプラスチックも摂取してしまうと、代謝異常を引き起こし、糖尿病などになってしまうことがマウスを用いた動物実験から明らかになりました。  
ハダカデバネズミは大人になっても卵子を新たに生産できると判明! - ナゾロジー
命つづく限り、産めるようです。 米国のピッツバーグ大学(University of Pittsburgh)で行われた研究によって、ハダカデバネズミのメスには、大人になっても卵子を追加で作れることが示されました。 人間やマウスなど通常の哺乳類...
  B:米国ピッツバーグ大学の研究。人間など通常の哺乳類のメスは、胎児のときに作られた卵子が全てで新たに生産することができないのだが、ハダカデバネズミのメスは卵子を追加生産できるそうだ。このハダカデバネズミの仕組みを人間に取り入れる可能性にも着目しているとのこと。ハダカデバネズミは70~80匹のコロニーで繁殖は1匹の女王ネズミのみ、と蟻や蜂のような超個体的な形態。ただし、次の女王が与えられるエサ等の養育差別で決まっている蟻や蜂と異なっているのは、コロニーの女王が不在になると他のメスたちの生殖機能が活性化し、次の女王の座をかけた競争が発生するということ。昆虫類より哺乳類のほうが殺伐としていて興味深い。そんなハダカデバネズミを人間の研究者は哺乳類のイレギュラーと位置付けているようだが、人間が自分たちのために作ったカテゴライズなんて、そもそも正しい保証なんてないのだから、発想の前提を間違えないようにしたいものだね。  
千葉大、細胞外イオン濃度を測定する非侵襲的イメージング技術を開発
千葉大学は、新規に開発したプリント基板上に設置した微小電極アレイセンサを実装した「PCB-EIT」法を提案し、イオンチャネルを介して生じる、不均一な細胞外イオン濃度のイメージングに成功したことを発表した。
  D:細胞にイオンが入ったり出たりして、さまざまな反応が起こるわけですが、細胞の中を細胞を壊さずに調べるのってとても小さいので難しいわけです。でも、その困難なことを実現したイメージング技術が開発されました。これでまた、生命の謎の完全解明に向けて一歩前進です。  
阪大など、欠損した関節軟骨がiPS細胞由来軟骨の移植で再生することを確認
大阪大学と京都大学は、ある個体のiPS細胞から作製した軟骨を、膝関節軟骨を欠損した別の個体に移植した結果、関節軟骨が再生することを明らかにした。
  D:軟骨は、身体の中で最も再生しにくい細胞の1つでしょう。血管が通ってないので、修復反応が起きないためです。これまでは細胞移植などが行われていましたが、iPS細胞を用いた再生医療の研究も進められています。再生しにくいという短所がある一方で、軟骨は他者の細胞を移植しても拒絶反応が起きにくいという長所もあります。ただ、詳細なことはまだわかっていないそうです。そこで今回、サルを用いた動物実験で、あるサルの細胞から作ったiPS細胞から軟骨を作り、それを別のサルに移植するという実験が行われました。  
バラの香り成分は免疫細胞による炎症反応の抑制に作用する 理科大が発見
東京理科大学は、バラの香り成分である「β-ダマスコン」が、免疫細胞である「樹状細胞」による炎症性サイトカインの分泌や、「ヘルパーT細胞」の活性化を抑制する作用を有することを明らかにしたと発表した。
  D:バラの香りは自己免疫疾患に有効な可能性が示唆されました。アレルギーも自己免疫疾患の一種なので、もしかしたらバラの香りを嗅ぎまくっていたら、治るのかも?  
ヘイケボタルが発するミリ秒レベルの瞬きの意味は? 中部大などが解明
中部大学と慶應義塾大学(慶大)の両者は、日本の里山を代表するホタル「ヘイケボタル」のオスが、ミリ秒レベルの「瞬き」を伴う点滅発光でコミュニケーションをとっていることを明らかにしたと共同で発表した。
  D:ヘイケボタルは日本の里山を代表するホタルです。ホタルの点滅はコミュニケーション手段ですが、ヘイケボタルは、オスもメスもミリ秒レベルの瞬きをするそうです。どういう意味があるのか謎でしたが、現代ならではのLEDを用いて作った「電子ボタル」などを駆使して、その意味がわかってきました。その意味は何かというと…!?  
ABCなど、南極の藻類が赤外線で光合成を行う仕組みの一端を解明
アストロバイオロジーセンター(ABC)などは、遠赤外光でも酸素発生型の光合成を行える緑藻において、遠赤外光を吸収するための光捕集アンテナタンパク質を同定し、その立体構造を明らかにしたと発表した。
  D:エネルギーの高さと大気圏内で可視光線が最も多いことから、植物の光合成でも可視光線が使われています。しかし、南極の過酷な陸上に棲息する緑藻「ナンキョクカワノリ」は、多層構造のコロニーを形成していて、表層では可視光線で光合成を行い、そこで可視光線が消費されるため、下層では波長700~800nmの遠赤外光で光合成を行えるそうです。この赤外線で光合成を行える藻類が地球にいるということは、近年、多くの赤色矮星で系外惑星が発見されていますが、そうした惑星でももしかしたら光合成を行う生物がいる可能性が高くなるということになるものです。  
万引き依存症(窃盗症)は薬物依存症などと同様のメカニズムが関わってる可能性、京大が確認
京都大学(京大)は、万引きがやめられない精神障害「窃盗症(クレプトマニア)」(通称:万引き依存症)の患者に、健常者には見られないような視線の動きと脳活動の反応が見られることを明らかにしたと発表した。
  D:やめたくてもやめられない精神障害の一種に、「窃盗症」というものがあるそうです。犯罪行為と知っていても、逮捕されて刑罰を受けてもやめられないのだそうです。この手の研究は実はあまり進んでいないそうで、アイトラッカーを用いた視線計測や、脳波計測を用いた今回の研究から、依存症の一種であることがわかってきました。窃盗症患者はよろしくない条件付けをしてしまい、それを誘発する環境にいると、手が勝手に動いてしまうようなのです。  
千葉大、命の危機を感じた瞬間などに時間がゆっくりと流れる謎の一端を解明
千葉大学は、表情画像の観察で生じる感情反応が視覚の時間精度に及ぼし、物事がスローモーションに見えるという現象が生じることが確認されたことを発表した。
  D:交通事故に遭う直前など、ヒトは生命の危険にさらされた瞬間、時間がゆっくりと流れるように感じることがありますよね? 命を失う危険性のある瞬間、判断力などのクロックアップを行うことで、その危機を回避しようとする生命の生存本能なんだと思いますが、それを科学的に研究するのは容易ではありません。それを確かめる研究が行われ、やはり人間はヒヤリとかハッとした瞬間、要は心臓がドキッとするような瞬間、クロックアップが起きるようです。  
過度な魚の放流は長期的にはその種を含む生物群集を減少させる、北大が解明
北海道大学は2月9日、魚のふ化放流は多くの場合で放流対象種を増やす効果はなく、逆にその種を含む生物群集を減らすことを明らかにしたと発表した。
  D:環境破壊や乱獲などで漁獲高が減ってしまった魚類を卵から孵し、稚魚まで育ててから放流というのは、長年行われています。しかし、その河川のキャパシティを超えて放流すれば、ほかの生物との餌の奪い合いになるし、さらに多ければ、稚魚同士での餌の奪い合いになって、返って環境によろしくないし、結局魚の総数は増えないのだそうです。  
畿央大、「行為/運動主体感」は短期間で変化しない頑健さを持つことを確認
畿央大学は、主観的な制御の感覚・意識を指す「行為/運動主体感」について、短期間では変化しない主体感であることが明らかになったと発表した。
  D:行為/運動主体感とは、”ある運動・出来事を引き起こしているのは自分自身である”という主観的な制御の感覚・意識のことをいいます。感覚予測と実際の感覚結果が一致しなければ行為/運動主体感は低下あるいは喪失するそうです。しかし、これまで、一定の期間、感覚予測と実際の感覚結果の不一致に曝露されることによって、行為主体感が適応的に変化するか否かは不明だったそうで、また行為主体感に影響する抑うつ傾向、統合失調症傾向、感覚過敏などの心理状態の個人差が、その適応性に影響するのかどうかも不明だったそうです。しかし、それが今回の研究で短期間で変化しない頑健さを持つことがわかりました。  
若年者の外側円板状半月板損傷治療は温存療法が効果的 大阪公大が解明
大阪公立大学は、「外側円板状半月板損傷」に対し、若年者であれば、縫合して半月板を温存する方が軟骨を保護できることを示したと発表した。
  D:半月板損傷といえば、ヒザの大ケガとして知られています。これまで、損傷した半月板はほぼ全摘してしまうのが一般的でしたが、摘出した結果、ヒザが変形してさらに痛みがひどくなるということも少なくないため、近年は温存する方向へと変化しているそうです。ただし、本当に摘出するよりも温存の方がいいのか、温存の仕方はどうするのがいいのか、不明な部分があったため、それが調べられました。その結果、特に若者に関しては、温存する方がいいことがわかりました。  
魚類も鏡に映る姿を自分だと認識できることを大阪公大が実証!
大阪公立大学は、魚類「ホンソメワケベラ」が自分の画像を見て「これは自分だ」と認識できることを実証し、魚類にも「内面的自己意識」があることを明らかにしたと発表した。
  D:動物の中で心があるのはヒトだけ、と長らく考えられてきました。以前の実験により、魚のホンソメワケベラは、鏡を見てそこに映っているのが自分だと認識することが可能です。そこで今回は、同魚の1匹に鏡を見せた後、次に自分の顔や他個体の顔を見せました。すると、自分の顔画像に対しては攻撃しようとせず、他固体の顔画像だけ攻撃したのです。一方、事前に鏡を見てない別の1匹は、自分も他固体も関係なく顔画像を攻撃しました。これは、鏡像を利用して心の中に自分の顔のイメージ(心像)を作り上げ、そのイメージと画像を比較している証拠であり、心があることが証明されたのです。すごいことです。  
ハイブマインド